うたかた

オタクの観劇メモです。

ミュージカル『(愛おしき) ボクの時代』

ミュージカル『(愛おしき) ボクの時代』

【公演期間・劇場】
DDD青山クロスシアター

《1stプレビュー》2019年11月15日(金)~18日(月)
《2ndプレビュー公演》2019年11月23日(土)~26日(火)
《本公演》2019年11月30日(土)~12月15日(日)

【劇作・脚本・演出】
脚本・演出:西川大貴
音楽:桑原あい
振付:加賀谷一肇
スーパーバイジング・ディレクター:ダレン・ヤップ

【出演】
天羽尚吾/猪俣三四郎/上田亜希子/梅田彩佳/岡村さやか/奥村優希/
風間由次郎/加藤梨里香/塩口量平/四宮吏桜/関根麻帆/寺町有美子/
橋本彩花/深瀬友梨/溝口悟光/宮島朋宏/吉田要士

 


1st、2ndと2度のプレビューを経て本公演を行ったり、スウィング制をとっていたり、「徐々に作り上げていく」日本の商業では珍しい作品。

今回の公演では作り替えていく事を前提として、シンプルなセットだそうです。動かせるセットがほぼ「箱」の状態で、色もオフホワイト。キャストさんの衣装もシンプルに黒を基調に。
正方形の「枠」をキャストさん達がアナログ的に回したりするのは、小劇場的によく合っている。大きな舞台でも公演する事も想定して…と、西川さんがお話されていたのですが、手動で回していた枠は、大きな劇場でやるなら、どう変化させるのかなぁなんて観ながら想像していました。
場面によってはプロジェクションマッピングとか合いそう。

ストーリーとしては公式をご参照なのですが
現代日本からスリップしてきたサラリーマン、考える事が苦手なお猿さん、高慢な武士、臆病ななまはげ、不思議な力を操る(と言われている)天狗、銀の靴を狙う悪い女郎蜘蛛(そして世界を壊そうとするペリー??)などなど登場人物が「和風オズの魔法使い」だったり、個性的です。
主人公の戸越とか、そのまま「ドロシー」ですね(笑)

オズの魔法使い」の物語と、戸越が抱える「現代日本人」らしい人間関係や親との関係が絡んだ物語。
プレビュー期間でも戸越の母親像が大きく変わるので、こう変わったか!という感じでした。アンケートを積極的に採用するスタイルのようなので、感想を反映させた結果かと思われます。
セリフや物語のちょっとした要素、歌うキャラクターが変わったり変更点が沢山あって、そのたびに良くなっていくのがとても面白い作品でした。


キャストの年齢層は色々でしたが、シンプルに「歌で魅せてくれる」「タップが上手い」「作って壊してを繰り返すこの舞台に柔軟に対応されている」そんな素敵な役者さん方だなあと感じました。

カピバラ」や「ペリー」辺りは話に関わってくる役なんですけど西川さんの年代や感性が色濃く反映されている印象で、世代により受け止め方は変わってくるとは思います。
「天狗の町」が「凄すぎる!」という戸越のセリフがどうしても観客のイマジネーション頼りな所があるので映像とか追加して貰えたら良いなあと思いました。花火や飛行機のSEっぽいものは本公演で追加されたと思います。
(個人的には伊豆より道後温泉なイメージ。)


オフブロからオンブロへの進展…という作品のコンセプトでいうと、本公演では起承転結とメッセージの輪郭が見えてきていましたし、何より桑原さんの作った歌が良いのでアリだと思いました。徐々に変化していくのが興味深かった。映像演出との親和性も高そうな演出でした。
本公演のプロローグは演出も相まってスタイリッシュで好きでした。

 

f:id:sfor98:20191218212329j:plain

ミュージカル『(愛おしき) ボクの時代』