うたかた

オタクの観劇メモです。

『明治座の変~麒麟にの・る~』

明治座の変~麒麟にの・る~』

 

【公演期間・劇場】
明治座 2019年12月28日(土)~31日(火)

【劇作・脚本・演出】
脚本:赤澤ムック
演出:原田優一

 

【出演】
平野良、 安西慎太郎/
神永圭佑、木ノ本嶺浩大山真志
井阪郁巳、松田岳、小早川俊輔、吉村駿作、土屋神葉
林剛史、谷戸亮太、川隅美慎、二瓶拓也、井深克彦中村龍介
加藤啓、内藤大希・原田優一、椿鬼奴
辻本祐樹/粟根まこと凰稀かなめ(特別出演)

 

 

通称「る変」
「もしも」を語る、年末の明治座恒例「る・ひまわり」さんのファンタジー系時代劇。
今回のテーマは2020年大河ドラマ麒麟がくる」に因み「織田信長明智光秀 本能寺の変」がテーマ。
天下人の前に現れるという「きりん」を奪い合う武将たち。
明智光秀はなぜ織田信長を討ったのか、どんな物語の行く末が本能寺の変だったのか?その先の真実は?…と、相変わらず面白い切り口のテーマに、奇想天外な設定です。

座長は、平野良さんと安西慎太郎さん。

平野さん演じる、名を捨て明智光秀の影武者をしている本物の織田信長は風見鶏のようなふらふらとうだつの上がらない…という冴えない印象の人物。
安西さん演じる、本物の信長に代わり織田信長を名乗る弟は気性が激しく、荒々しい印象。
個人的にお二方とも独特の雰囲気の役柄が似合うイメージの方なのですが、今までのイメージと違う意外な役柄。特に安西さんは怪演という言葉がよく合う迫力のある役でした。

登場人物が多いため詳細は割愛しますが、物語の真相が紐解かれていくにつれて両者のイメージが一転。
争いから逃げ続けた兄(平野さん)は愛情深く、優しいお兄さんに。兄の代役を演じて兄を否定し続けた弟(安西さん)は誰よりも兄を慕っていたのでした。

出だしから登場する、語り部たる「おっちゃん」(粟根さん)が、その後の弟であった事も明らかになりますが「おっちゃん」が冒頭で歌う「きりんの歌」(タイトル不詳)は、兄が最期に歌ってくれた曲だったのでした。
兄が弟に向けて、とても優しく歌っていた曲を「おっちゃん」は朗々と歌い上げられていて、弟は兄の歌をこんな感じで捉えていたのかな?と平野さんが歌っている途中で粟根さんの歌声も思い出しながら見入ってしまいました。
舞台のラストで、かつての天体観測が好きだった兄弟が見た、舞台いっぱいに映し出された星空がとても綺麗でした。

 

今回出演される予定だった滝口さん。
PVやグッズ、劇場に飾られている幟、考案されたオリジナルメニューの提供などなど、色々な所から滝口さんの存在を感じる事ができました。
そして滝口さんの代役として出演された大山さん。
ビジュアルが似ているという事ではないですが、舞台の途中で大山さんに滝口さんの存在を感じる瞬間がありました。
あの役は、滝口さんを思いながら作り上げたのかなと、舞台が終わってから思いました。


全体的には、例年により歌唱シーンが少ない印象を受けました。
笑いのシーンも例年通りありますが、何というか後味がまろやかでファンタジック。素敵な舞台でした。

 

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明治座の変~麒麟にの・る~』

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明治座の変~麒麟にの・る~』