うたかた

オタクの観劇メモです。

『 THE BLANK!~近松門左衛門 空白の十年~』

『 THE BLANK!~近松門左衛門 空白の十年~』

【期間・会場】
(東京公演)よみうり大手町ホール
2019/9/14(土) ~ 2019/9/25(水)

(大阪公演)COOL JAPAN PARK OSAKA TTホール
2019/9/27(金)~2019/9/29(日)

【劇作・脚本・演出】鈴木勝秀

【出演】
浜中文一 / 江田剛 / 内藤大希 / 小林且弥 / 細見大輔 / 香取新一 / 田村雄一 / 佐藤賢一 / 陰山泰 / ラサール石井


近松 洋男さん著『口伝解禁 近松門左衛門の真実』を原案とした作品だそうです。
近松門左衛門は謎が多い(資料が少ない)人物だそうで諸説あるらしいのですが、近松家に口伝されるという近松門左衛門の秘密を明かした作品。
近松洋男さんが近松家の子孫だとか。)

20代の近松門左衛門が無名で、なぜ突然30代で頭角を現したのか?
赤穂藩の「塩の道」…塩の流通ルートの開拓だったり、忠臣蔵だったり、大きな歴史にも関わっていたとか。
「塩の道」を拓く事は重要なプロジェクトだったそうで、開拓するまでの10年間は名前が表沙汰にしないように隠されていたとか。
「塩の道塾」でスペイン語を覚えるために浄瑠璃スペイン語でやってみたり、スペイン語の劇を日本語に訳してみたりしたのだとか。

という事をやっていたので、塩の道の開拓を終えてから、劇作家として花開いたと。
…といった謎めいた近松門左衛門の「空白の10年」を描いた物語となります。



自分か不勉強なもので、この説がどれだけ驚きの内容であるのか、塩の道の開拓がどうしてそんなに大掛かりなプロジェクトだったのか…という事が分からなくて、観ながら勿体ない事してしまっているなと思いました。

ちょっとだけ感想

浜中文一さん
少しだけ青くて、しかし聡明な近松門左衛門を演じられた浜中さん。
シャープだけど爽やかなビジュアルの方で、舞台俳優さんって感じの印象が強い方でした。ジャニーズなんですよね。
基本的にストプレで立ち回りも殆どなく、あまり大きく動く事のない今作ですが、劇中劇など動く時には綺麗な方だなと思いました。

内藤大希さん
塩の道塾 塾生の松鹿平馬役。海上のルート開拓のキーパーソンです。
歴史に名が残るわけではない、舞台オリジナルの登場人物という事らしいです。

近松と大石の画策に首を突っ込んだり、近松の作った劇(劇中劇)で女形をやってみたり、舞台を回す上ではテクニカルな役どころなので内藤さんにお願いしたかったんだろうなという印象でした。
劇中劇の女形は、衣装は変わらなかったですが所作が女形らしく美しかったです。

小林且弥さん
現代パートを担うお一人。記者さん役です。
自由すぎる空気をきっちり締めていく役割という所でしょうか。
コバカツさんの声、好きなんです。

細見大輔さん
現代パートと解説を担う学者さん役。
コバカツさんが空気を締める役なら、細見さんは荒らす役割でしょうか(笑)
あの騒がしい感じが好きです。

今回、全体的にセリフが聞き取りにくいなと感じるシーンが多かったのですが(以前別の作品を観た時には感じなかったので劇場の設備…の問題ではないように思われる)
細見さんの声は圧倒的に聞き取りやすいです。解説役でとにかくセリフが多い方なので、良かった。


時代劇とも、ファンタジーとも違う不思議なヒストリカル・ファンタジー
スズカツさんワールド全開という印象の作品でした。