うたかた

オタクの観劇メモです。

ALTAR BOYZ 2019

ALTAR BOYZ 2019

作曲・作詞:Gary Adler、Michael Patrick Walker
脚本:Kevin Del Aguila

 

翻訳・訳詞:北丸雄二
演出:玉野和紀

 

出演:
(Team GOLD)
(Matthew)大山真志
(Mark)法月康平
(Juan)松浦司
(Abraham)常川藍里
(Luke)石川新太

 

(Team SPARK)
(Matthew)良知真次
(Mark)金井成大/北乃颯希
(Juan)観修寺玲旺/米原幸佑
(Abraham)反橋宗一郎/和田泰右
(Luke)川原一馬/山本準也

 

 

日本公演10周年を迎えるオフ・ブロードウェイ作品
神に仕えるBoyzたちが愛の教えを広め、魂を清めるべくご機嫌なミュージック(福音)をお届けする観客参加型ライブ形式ミュージカル。
基本的にはコメディ作品でありますが根本に様々な差別のテイストが散りばめられていて奥深さも感じられる素敵な作品で、2012年版から観劇してすっかり魅了されてしまっています。
Boyzがカトリックを信仰している設定なので「ミサってこうやって参加するんですよ!」とか「聖書によるとイエス・キリストはこんな奇跡を起こしましたよ!」みたいな、発祥となるアメリカでは知っていて当たり前を丁寧に教えられる面白さ…みたいな、日本だとその意味が分かりにくい部分もあったりします。(知らなくても十二分に楽しめますが)

今回からは、日本初演から牽引されたメンバーが卒業。残留した良知さんは何とアブラハム役からマシュー役へ転身。
GOLDチームとSPARKチームの2チーム制で、更にSPARKチームはマシュー役となった良知さん以外はWキャスト制です。
作品そのものの最大の魅力としては音楽の良さ、かと思います。
日本版ABZとしての魅力はダンスもまた個性的である事、それぞれのキャラクターをそれぞれの役者さん達が自身の個性の中にどう落とし込んでいくか、という事かと思います。

 

【GOLDチームのお話、感想】
2017年の公演を観てピースがぴったりはまったようなチームだな、と感じたGOLDチーム。
何となく、このチームは次に公演があったとしても続投するんだろうな、と感じていた所で今回の続投の告知を見てやっぱり!という感じでした。
何と言っても声質のバランスがとれているのが最大の魅力だと思うのですが、個人的にここが好き!というポイントを。

 

大山さん(マシュー)
2014年より3回連続で出演されています。
(2014は新生REDチーム、2017と2019でGOLDチーム)

全体的に大きい(笑)
本編でも何かと散々にダイエットネタで弄られますが、ハスキーというのか耳に残り且つどんっとよく通る歌声、そしてダイナミックなダンスが映える、映える。
きっとあの劇場では大山さんには小さいんだ…そんな感じのスケールの大きな方です。

大きくて、どっしりしていて包容力がある。ご本人の愛嬌のあるキャラクターが色濃く反映されたマシュー。
個人的に、マシューを除く4人は何かしらのコミュニティから外れてしまった「黒いひつじ」なのだと思うのですが、迷える彼らが大山マシューの元に集まってきたのは必然だったのだろうなと感じさせてくれるマシューでした。

 

法月さん(マーク)
大山さん同様に2014年より連続で出演されています。
マークがゲイである事(実は舞台で明言されてはいないけど)、キリスト教の中でも家族間で宗派(?)が違う事など、複雑な心の内を繊細に演じられていてとても好きです。
歌声が心地良く綺麗な高音で、GOLDチームの歌のバランスを整えているのかなというイメージ。
サポート上手な方でもあります。

 

松浦さん(フアン)
2017年のGOLDチームとなってからの出演。
USJで永らくダンサーをされていたり、海外でダンス修行をされていたりする根っからのダンサーさんですが、アドリブに対するフットワークの軽さや機転が利いた所はそこら辺が理由でしょうか。
前回よりものびのびと自由にパフォーマンスされていて、ある意味でGOLDチームのトリックスターの様な存在へ変貌を遂げていました。(それが日本アルターらしさ!になっています。楽しいです。)
GOLDチームにおける中間的な声質の方で、松浦さんもまたハスキーな歌声で個人的に大好きです。

 

常川さんアブラハム
松浦さんと同様2017からご出演。
The 劇団四季…という感じでしょうか。
母音法の発声をされているのか、とにかくセリフも歌も聞き取りやすい。
(実際、四季にも出演されている)
スッとよく通るセリフと高音が強い歌声も、指先まで細やかに神経の行き届いた綺麗なダンスも、他のキャストさんとの方向性が違う方だなと感じたのですが、それが「アブラハムらしさ」に昇華されているように感じられてとても好きでした。
あとはアドリブが強くなればもうどんな作品でも怖い物なしって感じになりそうなのですが、どうも弱いようです(笑)

 

石川さん(ルーク)
上記同様2017からご出演。
GOLDチームにおいて前回からの振り幅が最も大きかったのが石川さんではないかと思われます。
前回の時から弱冠17歳にして歌、演技、ダンス パフォーマンス全面で満点以上を叩き出すような優等生という印象の方でした。
今回、アドリブに対する切り返しの機転というのか、舞台度胸というのか、しっかり構えている所が逞しいなあと思ったのと、とにかく歌の素晴らしさが!
ソロを声量たっぷりに高らかに歌われていてとにかく歌声が聴いていて気持ち良い!歌を浴びてる!と感じさせてくれる歌声でした。新宿faceサイズでも良かったですがステラボールの劇場サイズと整った音響でもまた真価を発揮しているという感じでした。
公演初日の時点で音大1年生って事で、とにかく若い!成長著しくて才能が恐ろしい!という方でした。これからの活躍がとても楽しみな方です。

 

【最後に】
「ALTAR BOYZ 2019」の千秋楽後に森新吾さんがご逝去が発表されました事につきましてお悔やみ申し上げます。
今回で先輩チームとなった現「GOLD team」をGOLDたらしめたのは、GOLDキャストのパフォーマンスが素晴らしかったのは勿論ですが、森さんの振付がGOLD teamの魅力を最大限に活かした振付をされたからだと思います。

合同公演の千秋楽で良知さんが「この場に立っている事は当たり前の事ではない」と仰られ、大山さんは「(森さんの振付された)GOLDのダンスを踊れるのは今は自分たちしかいない。踊れる方が出るまで自分たちは続けます」と仰られました。
真摯に、熱く、強い気持ちで公演に向き合われたABZを、永く永く続けて頂きたいです。

 

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